2009.12.20 Sunday 08:56
「のだめカンタービレ」がテレビで放映されていました。
ピアニストを目指す音大生の「のだめ」を取り巻く人々を描いたクラシック漫画が原作です。
原作を読んだのは数年前。天才でありながら、病的に掃除が苦手で、のんきな「いいやつ」ののだめのキャラクターに笑いながら、一気に文庫本を読み終えました。
クラシックファンのすそ野を広げたともいわれるこのアニメ。
音楽関係の知人は、コンサートのあとに「のだめに載っていた曲だ!」と声をかけられたこともあるといいます。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、ベートーベンの交響曲第7番、ラプソディーインブルーなど、ストーリーに登場する曲が無性に聞きたくなり、また不思議に新鮮に聴こえます。
音楽の入口はいろいろだと、あらためて思います。
2009.12.10 Thursday 11:52
新潟市から700キロ、車の旅をして、西日本の姉の家を訪ねました。
新しいキッチンで、姉が取り出したのは、見覚えのあるアルミの弁当箱。
小さくて、花の模様が入っています。
見覚えがあるはずで、姉が幼稚園のころの弁当箱でした。
「捨てられんの」と姉はいい、今も使っているそうです。
また「寒いね」と言ったら出てきたのは、これまた見覚えのある毛布。
実家のコタツで長年、使っていた毛布でした。
とても懐かしくなり、心が温まりました。
ひとつ、ひとつの物を愛着を持って使っているのが姉らしく、変わらない。それに異なる地域、場所でも家族の歴史が脈々と生きているような、そんなうれしさがありました。
ひるがえって私は、飽きてはポイ、だった気が。ちょっと姉がうらやましくなって、実家に置きっぱなしになっている昔の食器を引き取ることにしました。
2009.12.04 Friday 15:37
一人暮らしをしていたころ、実家から居住地へ帰るとき、毎回のように父が「弁当持っていくか」と聞いたものでした。
たいていは、朝早く実家を出て帰っていたので、朝ごはん、もしくは昼ごはんにという親心。でも、適当に食べる、とほとんど断っていました。
弁当箱を下げて長い時間旅するのが億劫だっただけでなく、お弁当の持つ愛情の重さがちょっと苦手だったのかもしれません。何にも縛られず、お腹が空いたらコンビニでも売店でものぞけばいい、そんな気持ちでした。
それが今では、よほどのことがない限り、外で買ったものを食べることがなくなりました。赤ん坊連れで出かけることが多いせいもありますが、外で食べざるをえないときも弁当持参。ポットに入れたお茶とコップもバスケットに入れてよく持ち歩きます。
使い捨てが楽であり、その身軽さがかっこいいことのように思っていましたが、そんなてっとり早い生活には逆に疲れてしまったように思います。今の方が何となく、毎日を大切に生きている気になります。
先日、西日本から新潟市を訪れた父が帰る際、自分で作った弁当を渡しました。
父はそれこそどこかで買うか、自宅に帰って食事を取ろうと思っていたかもしれませんが、急いで過ぎし日の罪ほろぼしをしたい心境でした。
2009.11.19 Thursday 16:37
久しぶりにホットケーキミックスを買いました。
ちょっと違った食べ方がしたくて、ヨーグルトと牛乳、卵を投入して炊飯器のスイッチをオン。焼き色もきれいについて、ヨーグルトケーキの完成です。
一人で台所の火を使い始めたのは小学校に入る前でしょうか。最初によく作ったメニューの一つがホットケーキでした。
少量の粉でたくさん食べたくて、水を多めに入れて失敗したことも。残った液をぺろりとなめても不思議においしく、よく叱られました。
当時の私は、テレビで飢餓に見舞われている地域のニュースを見て、ホットケーキの粉を援助で送ればいいのではないか、と思っていました。火がおこせなくても水で溶いてなめるだけでこんなにおいしいのに、それに卵や牛乳も入って栄養もあるはず、この粉を送るだけでも助かる人がいるのではないかしら。でも水がそもそも入手できないのかしらーそんなことを考えていました。
今となっては、子供らしいとはいえ、その傲慢さにちょっと恥ずかしくなる思い出です。でもそのせいか、ホットケーキを食べるたびに、今の豊かさに感謝したい気持ちになります。
2009.11.17 Tuesday 17:48
昨日、この欄で冬のコンサートの話を書いたあと、今まで行ったコンサートホールを思い浮かべていました。
初めて自分でチケットを買って、フォークソング歌手のコンサートに行った西日本の田舎のホール。パイプオルガンが素敵だった北の街の大きなホール。偉大なチェリストの名を冠す、あこがれだった東京のホールは、来春の閉館が決まってしまいました。
音響やシートのゆったり加減、建物のデザイン、はたまたトイレの数まで、ホールの良し悪し、あるいは好みはいろいろなのでしょうが、以前音楽好きの知人が「良いホールは駐車場がないホール」と言っていて、妙に納得したのを思い出します。
この意味はふたつ。ひとつには、来館者の交通手段が車中心のホールは、えてして駐車場が込み合い、最後の曲目の演奏のころから帰路の混雑を気にして、館内にそわそわとした空気が漂います。アンコールで席を立ち始める人までいて、演奏が台無しになる感が。
もうひとつの意味は、演奏が終わったあと、駅などに向けて、聴衆が歩いて会場を後にするからです。自分自身が余韻に浸るのももちろんですが、音楽で心が満たされた人たちが、ぽつりぽつりと感想など話しながら、家路につく光景は、何とも好ましい感じがします。
2009.11.16 Monday 21:51
毎年、この季節になると、なぜだかコンサート会場に足を運びたくなり、チケット情報をチェックします。
暮れには「第九」、年明けに「新世界」。お約束通りといえばそうですが、この時期に聴くのは格別の安心感があり、そうした選曲のオーケストラを探したこともあります。
数年前、小さな教会で室内楽の演奏を聞いてからは、教会コンサートの情報に目が行くようになりました。その翌年に行った、知人が参加しているゴスペルグループの、クリスマスコンサートは、高い天井に透明な歌声が響き、心が震えました。
暖かい室内で演奏を聴いたあとは、冬の寒さの中を、あえて少し歩いて余韻に浸りながら帰るのが好きでした。そんな記憶が色濃く、冬になるとコンサートに行きたくなるのかもしれません。
2009.11.14 Saturday 20:46
先日、ローカルニュースを見ていたら、イベントの告知コーナーで、中高生がジャズコンサートの開催を案内していました。
中高生バンドによるジャズコンサートとは珍しいな、と思いましたが、そういえば、ジャズの大きなイベントがあったり、ビッグバンドをもつ高校があったり。新潟は昔からジャズの盛んな街のようです。
調べてみると、戦後に進駐軍が駐留し、コンサートが開かれ、演奏家が集まってきたことがジャズ文化をはぐくむ土壌となったという見方もあるそう。
「A列車で行こう」で知られるピアノ奏者でオーケストラリーダー、デューク・エリントンが、新潟市の国際親善名誉市民というのも驚きました。新潟地震の際に日本公演中で、被災地にコンサートの収益金を寄付したことが縁となったそうです。
横浜や函館がそうであるように、港町らしい自由な気風が、ジャズ文化を受け入れ、この土地に根付かせたのかもしれません。
県外にはあまり知られていない、港町新潟の横顔です。
2009.11.10 Tuesday 18:51
寒くなってきました。衣類の整理をしていたら、懐かしいTシャツが出てきました。
大学時代に作ったTシャツです。
その大学は秋になると、他大学とスポーツの定期対抗戦を行っていて、その運営に携わっていました。
スポーツの試合をやればそれでいいかというとそうでもなく、夏から広告集めが始まります。かなり厚手のパンフレットを毎年印刷し、その中身はほとんど大学の近隣やスポーツ用品の販売などでお付き合いのある企業からいただいた広告でした。
4年に一度、会場になる「当番校」になると、これにTシャツ製作、ポスター・パンフレット・チラシの印刷などの作業が加わります。ポスターの打ち合わせでデザイナーさんにお会いしたり、複数のTシャツの業者さんに見積もりをお願いしたり。学生的な軽い見識でずいぶん迷惑もかけたと思いますが、得難い経験でした。
そうして作ったTシャツは着心地もよく、大学を出てからもずいぶん着ました。今はほころびも目立つようになりましたが、どうしても捨てる気にはなりません。
2009.10.30 Friday 13:42
ジャガイモ好きの家人のために、思い切って箱買いしました。
北海道ニセコ産のキタアカリ。ネットで送料無料の商品を見つけました。
新ジャガはホクホクで、粉ふきイモにすると、塩少々の味付けでいくらでも食べられます。
最近はこうしてネットで買い物をすることが増えました。
ところで、贈答品をネットで注文するとき、いつも思いだすことがあります。
数年前、お世話になった知人に、ある海の町の名産品であるカマボコをネットで注文して送ったところ、請求書も一緒に先方に届いてしまいました。
控えにも、請求書は私のところへ送ってもらうよう記してあるので、明らかに相手のミス。先方が心得た方で、非常に丁重なお手紙とともに、請求書をこちらに送ってくださったので一応解決しましたが、冷や汗ものでした。
そんなわけで、贈答品をネット注文するときは、いつもそのことを思い出してちょっとどきどきします。
そしてネット注文はとても便利ではあるのですが、地域にお金を落としていないちょっとした罪悪感もつきまといます。
2009.10.16 Friday 17:41
先日、知人に卵15個をいただきました。
新発田市の養鶏場の、いわゆる「赤玉」です。卵好きの家人は狂喜乱舞。
ちょうど別のところから、卵かけごはん専用の醤油をいただき、毎朝卵かけごはんにしていただいています。
この醤油は新潟市のメーカーが製造しているもの。控えめにだしがきいていて、普通の醤油よりも卵の味が引き立つようです。
少し前になりますが、卵かけごはんや、いわゆる「ねこまんま」がちょっとしたブームになり、本や歌まで登場しました。
ネットやテレビでも、ごはんにくぼみをつけて卵を落とし・・といった「正しい食べ方」からねぎ、わさび、ごまなど薬味まで、いろいろなウンチクが語られたものです。
どうしてだか、こうした「ちょっとお行儀悪いけどたまに食べたくなる料理」の話題は異様に盛り上がります。この間も友人と話していると、「バターしょうゆごはん」「納豆チーズ」など、みんな「うちの恥ずかしい一品」を持っていて、作り方にも一家言持っているのに笑えました。
ご飯にいろいろ乗せて、ぐちゃぐちゃかき混ぜて食べるのは子供の得意技。こうした食べ物は、子供のころ感じた、食べることがもたらす素朴で力強い幸福感を呼び起こすのかもしれません。